財産を残す立場の方
遺言書作成、遺産分割協議、相続税対策、成年後見制度、事業継承など、遺産相続には、様々な法律や手続きが関わってきます。
そこに、財産を残す人の気持ちや、残された遺族の関係などが絡みあうため、相続問題が解決に至るまでには、精神的にも肉体的にも労力がかかります。
とのも法律事務所では、これから遺言書を書き始める方や、相続手続きをされる方、老後への備えとして知識を蓄えておきたい方の、ご相談窓口です。
覚えておきたいキーワード
- 財産を残す人=被相続人
- 財産を受け取る人=相続人
遺産相続の際には、被相続人の財産を全て明らかにする必要があります。そのため、まず最初に被相続人がどのような財産をお持ちなのかをお尋ねします。
預貯金や不動産のほか、有価証券、自動車や宝石などの動産、生命保険金、貸付金など、あらゆる財産を明らかにする必要がありますが、その内容が把握されてない場合は、弁護士のサポートでお調べ出来ます。
財産にはプラスの財産とマイナスの財産がございます。
これらを明らかにして遺言書に残すことで、安心につながります。
→遺言書を用意できた方は、あらかじめ家族会議をするとよいかもしれません。
わたしにも遺言書は必要?
遺言書のイメージは「多くの財産を持つ人」や「家族関係が複雑な人」が、悲しい相続争いなどのトラブルを防ぐために必要なものと思われがちです。
しかし実際には、ごく一般的な家庭でも、相続時にトラブルが発生するケースが後を絶ちません。たった一通の遺言書の有無によって、遺族の将来や関係性を大きく変える可能性もあるのです。
どのような方であっても、遺言書を作成しておくほうが安心ですが、
まずは下記のチェックリストで、遺言書の必要性について確認しましょう。
以下の項目に該当する方は遺言書を作成しましょう。
妻(夫)はいるが、子供がいない。
遺産の4分の1を亡くなる配偶者の兄弟(親が御存命の場合は3分の1が親)が取得してしまいます。
不動産の場合は、配偶者の兄弟との共有になってしまい、売却したくても簡単に出来なくなります。
すぐに遺言を作成して配偶者にすべての遺産を相続させる遺言を作成しなければなりません。
独身である。
亡くなられた後の遺骨の管理や財産の清算を決めておかないと、あなたを供養する人がいなくなってしまいます。
遺言書を作成して、後々のことを決めておく必要があります。
後妻・後夫がいる、先妻・先夫との間に子供がいる。
大抵の場合、後妻・後夫と先妻・先夫との間の子供は、疎遠になりがちです。
そのため、遺産分割協議でも感情の軋轢からもめることが多いです。
残されるご家族が相続争いで不幸にならないためにも、遺言書を作成してきっちりと財産の分配を決めておきましょう。
相続人に行方不明のかたがいる。
相続人の中で行方不明の方がいる場合、遺産分割協議はかなり難しくなります。
方法としては、(1)不在者財産管理人の選任の申請 → (2)不在者財産管理人と遺産分割協議となります。
ただ、(1)の手続きは、家庭裁判所に財産管理人の報酬として少なくとも30万円程度を納めなくてはなりません。
時間も費用も余計にかかることになります。公正証書遺言書を作成して、行方不明の方に相続させない遺言を作成する必要があります。
内縁の夫・妻がいる。
内縁の夫・妻に相続権はありません。
入籍できないのはそれなりの事情があると思いますが、(1)入籍する、(2)入籍せずに遺言書を作成し、財産を遺贈させるなどの手段を講じる必要があります。
婿や嫁に与えたい。
血縁関係のない婿・嫁には相続権はありません。
事業の形成や老後の世話をしてくれた婿・嫁に感謝の気持ちを表したいのであれば、遺言書で財産を贈与(遺贈)するなどする必要があります。
ペットを飼っている。
あなたが亡くなられた後にペットの世話の面倒を託す方がいれば安心です。
しかし、託す方がいない場合はどうなるでしょうか。
また、面倒を見てくれる代わりに遺産の一部を与えた場合でも財産だけもらって面倒を見なくなることもあります。
この場合には信頼に足りる方や団体にペットをゆだねる必要があります。
大きな資産として持ち家が1軒ある程度である。
相続人が一人の場合には問題ありませんが、複数いらっしゃる場合、誰がその持ち家に住むのか、家賃を支払うことにするのか、あるいは売ってその代金を分割するのか、意外に深刻な争いとなります。
ここは財産を遺される方が遺言書で決めておいたほうが安心です。
相続人に特定の財産を与えたい又は与えたくない。
遺言は、最後の意思表示です。 自分の意思をしっかり実現するためにも遺言書を作成する必要があります。
どの財産を誰に与えるか決めておきたい。
遺産分割協議では、生前に受け取った財産を遺産に含めるか否か問題となります。
特定の相続人だけ大学入学の際に入学金と授業料を援助した、家を建てる時に資金を援助したなど援助した財産を遺産に含めるか争いになることがあります。
このような紛争を避けるために遺言書で財産に含めるかはっきりさせる必要があります。
会社を経営している。
会社の株式は、後継者一人に承継させる必要があります。
そうでないと、株式が細分化されて経営が不安定になってしまいます。
また、相続税がどうなるか、会社の定款で種類株式を発行するか機関設計も行わないといけません。
専門家を協議しながらもしっかりと事業承継対策を立てておく必要があります。
アパート・マンションを経営している。
アパート・マンションを経営している場合、相続と同時に管理をスムーズに相続人に引き継ぐ必要があります。
また、特定の後継者に承継させる場合には、その旨の方策も取っておく必要があります。
相続税がどうなるか、代償財産をどうするかの検討も行わないといけません。
専門家を協議しながらもしっかりと事業承継対策を立てておく必要があります。
相続税が発生しそうである。
相続税の発生が見込まれる場合、節税対策は勿論のこと、納期限までに納税できるように納税対策もしっかり立てておく必要があります。
証券会社や銀行などから投資信託等の金融商品を買えと言われている。
金融会社は人を見ずに財産しか見ません。
しかも、その財産からいくら自分が稼げるかという視点であなたを見ている可能性があります。
このような場合は、専門家に依頼して金融会社からの攻勢から守ってもらって、今後をじっくり考える必要があります。