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 知床沖で観光船が沈没して死傷者が出ています。痛ましい話です。船舶の事故があった場合、海難審判が行われることは知られています。ところでこの海難審判は裁判ではありません。海難審判は行政手続きで船舶操縦士、海技士らの懲戒処分を行う手続きです。もし、刑事罰を科す場合や民事賠償を求める場合、これとは別にそれぞれ刑事訴訟、民事訴訟が提起されます。かつては海難審判庁という役所があって、海難事故が発生したらそこが原因究明をしていたので、話題になることが多かったのですが、今は事故の原因究明は運輸安全委員会が行っていて、海難審判は操縦士らの懲戒だけになり、注目されることがなくなりました。海難審判所は東京にあるほか、函館、仙台、横浜、神戸、広島、門司、長崎に地方海難審判所が、那覇に門司地方海難審判所の出張所があります。海難審判の結果に不服がある場合、東京高等裁判所に取消訴訟を提起できます。また、海難審判では、受審人(刑事事件の被告人に相当する)となった人は、補佐人(刑事事件の弁護人に相当する)をつけることができ、弁護士資格を有する者は補佐人登録をすることができます(海事補佐人という。)。残念ながら私は登録してませんが。